as I myself
彼は少し歩こうと言った
坂道を上がると小高い丘についた
彼は想いを馳せるように
彼方に目をやった
私も彼の目線を追った
おだやかな海の向こうに
かすんだ山々が見えた
彼は何をみているのか
目の前の風景をみているのではない
長い年月自分の運命と共に生きてきた彼
彼自身しか分からない時空を見ているのだ
脳裏の中の凝縮した自身の情景をみているのだ
故郷で両親と過ごした日々
懐かしい少年時代や青春の頃
不条理な現実に向き合った日々
自身の生き方を振り返り
自分の存在は何だっただろうかと
答えがないまま漂流しているようだ
私自身もそうであるように
TAKAFUMI